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1以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2019/04/27(土) 00:48:38.604ID:zKZ04X3c0
 今でも高校時代の夢を見る。場面はよくわからないが、職場の同僚や大学の先輩、幼稚園の先生までもが、クラスメイトとして当たり前に登場する。
当時の同級生も、当時の姿をそのままに私の前を通り過ぎる。夢の中で私はいつも焦っている。
単位が足りない。インターハイ直前にまた胃に穴が開くのではないか。佐藤さんへの執着を拗らせ、また『みっともないこと』を繰り返すのではないか。
思考は働かない。着けたままのヘッドフォンから流れる、ニコニコ動画のゲーム実況と風景が混じって、しだいにすべてが支離滅裂になる。
ただ、焦燥、惨めさ、後ろめたい気持ちだけは終始リアルなまま続く。

2以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2019/04/27(土) 00:49:39.727ID:zKZ04X3c0
 夢から醒めた直後は何も思わない。トイレに行き、たまった小便を垂れ流す。
コーヒーを淹れる。一息ついてから、夢の残りかすが高校生の頃を思い出させて、夢の中で感じていた感情を反芻する。
 「まだ『まっくん』のままですか」
 「そうですね」
 私は私に返事をする。私は私とはもう十年近く、大学生の頃からの付き合いだ。お互いに思考が筒抜けなので、取り繕うこともごまかすことも出来ない。
『まっくん』と呼ばれることが恥ずかしく、やめてほしいことすら知っているはずだが、あえてそう呼んだのだろうということと、その意図すら私にはわかる。

3以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2019/04/27(土) 00:51:40.140ID:zKZ04X3c0
 「いつまで『まっくん』でいるつもりですか、今年ももう三分の一が過ぎました」
 「まだ半分以上ある。今までで何かできることがあったのなら、これからのでも十分です。行動したところで何もできなかったのなら、これからだって同じでは」
 「数か月では無理でも、一年なら――」
 私はそう言いかけてやめた。一年を何かに費やしても、何かを形にできるような気がしないから。順序が違う。
まず『まっくん』をやめること、それから始めなければ何もできないまま、当時の私のまま、何も変わらないだろうということを知っている。
それでも、『まっくん」をやめるためには、何か別の姿にならなければならない。そのために、行政書士の資格がいる。

4以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2019/04/27(土) 00:52:22.967ID:zKZ04X3c0
 「勉強は捗りませんね、昨日寝付けたのは朝の五時ごろですから、八時間たっぷり就寝してしまいました。健康なことで」
 「私の自虐的皮肉癖は私譲りですね」
 そこまでで会話は終わった。タバコが見当たらず、カバンの中にストックがあるかどうか探すので手いっぱいだったから。

 箱はあった。残っていたタバコは、二本。

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