幼女先輩は負けた。後ろで見ていたアイカツおじさんは歯がゆかった。

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1以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:21:49.350ID:/og6ILPX0
コーデが合っていれば、自分がプレイしていれば。
その思いも言葉にならない。
「あ、あ」
「笑うかい? 慰めはいらないよ。あたしは全力を尽くしたんだ」
アイカツおじさんは自分のリュックを探る。
そこから取り出したのはカードの束だった。
「あ、あげる。ダブりだから、レアカード。あげる」
その瞬間、幼女先輩の顔が険しくなった。
小さな手がアイカツおじさんの頬を叩く。
「てめえ、ふざけんな。幼女ナメんなよ!」
床にカードが散る。
アイカツおじさんは頬の痺れと散らばるカードに「あ、あ」と動揺した。
その様子に幼女先輩も苦い顔をする。
「悪い。大人気なかった。すまない」
しゃがんでカードを一枚ずつ拾い集めながら、幼女先輩はアイカツおじさんに顔を上げた。
「トレードだ。あたしのレアカードとあんたのレアカード。交換しよう」
アイカツおじさんは嬉しそうに何度も頷いた。
「これ、これが欲しい!」  幼女先輩はまるで幼女のように目を輝かせた。
アイカツおじさんのダブりには幼女先輩も見たことのないカードがたくさんあった。 「これとあたしのカードを交換」
手元のカードを見る。幼女先輩の持つ全てのカードは明らかにアイカツおじさんのダブりレアカードより少ない。
それでも幼女先輩はトレードという取引に興奮を隠せなかった。
自分のレアカードにダブりのない少女先輩にとってトレードは身を削るに等しい。
それでも楽しかった。嬉しかった。

2以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:22:54.236ID:/og6ILPX0
自分のカードから一枚を差し出そうとしたとき、幼女先輩は気付いてしまう。
決定的な自分の落ち度に。
「トレードは中止だ。今日のことは忘れてくれ」
アイカツおじさんは取り乱す。
「なんで、なんで! どうして!」
幼女先輩は自分のカードを愛おしそうに撫でた。諦めにも似た悲しい表情を。
「あたしのカードは」
気付いてしまったのだ。
折り目、擦り傷。そしておじさんの全てのカードがスリーブに保護された新品に近い状態であるのを。
「あたしのカードは汚い! これは対等ではないのだ!」
頭を掻きむしりアイカツおじさんは叫ぶ。悟ったのだ。
折り目も擦り傷も。
何度も何度も幼女先輩がカードを並べて組合せを考えて試行錯誤して少ないカードで何度も何度もカードを動かしてそれが傷になろうともなろうとも。
「汚くなんかない!」

3以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:28:00.684ID:Wp0aitLb0
よみいってしまった

4以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:28:23.613ID:1Ii5RRDFM
つづきはよ

5以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:29:22.079ID:x5QGOipad
幼女先輩にレアカード盗まれたおじさんいたよな

6以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:29:52.279ID:FRccyoJ30
昨日のアベ日記書いた人か?
続けたまえ

7以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:31:43.877ID:TPnyDcpH0
幼女先輩はまるで幼女のように目を輝かせた。

どういうことだってばよ?

8以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:31:49.796ID:81EJoRde0
コピペです

9以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:47:12.121ID:/og6ILPX0
証なのだ。アイカツへの熱なのだ。尊いのだ。
「僕はこのカードとトレードする! これは絶対な取引だ!」
ボロボロのカードを掲げ、アイカツおじさんは天へ吠えたのだった。
幼女先輩のママが来た。
アイカツおじさんは苦手な笑顔で会釈したが、ママはすぐに目を逸らした。
手を繋がれ、幼女先輩は去ってしまう。途中、振り向いてウィンクをしてくれた。
アイカツおじさんはずっとずっと見送った。
幼女先輩が嬉しそうにママにカードを見せると、ゲンコツを頭に落とされて肩を落とす姿をアイカツおじさんは脳裏に強く焼き付けた。
「ちょっと、いいかな」  肩を叩かれアイカツおじさんは振り向いた。
そこにはスーパーの警備員。
「あのね、その。苦情が来てるんだよ。いや、君は何も悪くないんだよ。でもね、わかるよね?」
「あ、あ」
「わかるよね?」
「はい」
アイカツおじさんと幼女先輩。二度と出会うことのないふたり。
果たしてそうだろうか。このふたりの繋がりは消えてしまうのだろうか。
祈れ。祈ったか。必要か。不要か。
アイカツおじさんは死なない。

10以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:49:07.437ID:Wp0aitLb0
感動した

11以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:50:07.322ID:/og6ILPX0
全てが無だった。アイカツ!を極めた日にそれは訪れていた。
音が遠くに聞こえる。視界が霧に覆われる。身体が溶けてゆく。
アイカツおじさんは全国を巡り歩いていた。
アイカツ!筐体は幼児向けに設計されているため、膝をついてプレイする。
そのためにズボンの膝には大きな穴が開いていた。
着替えも何ヶ月もしていない。まるで浮浪者である。
彼にはルールがあった。店に入るのは16時以降。幼女が極端に少なくなる時間だ。
そして1店につき1プレイ。何の意味があるのか。それでもカードは1枚ずつ増えていき、リュックを圧迫していく。
「重い」  渇いた唇から苦痛の声が出る。 「重い」  それはカードか、全国一位の重圧か。
アニメも始まり新参も増え、彼はいつしか「伝説のアイカツおじさん先輩」と呼ばれるようになっていた。
暗くなってから現れるアイカツおじさん。出てくるカードを確認せずにリュックに入れる。
1プレイで好成績を収めるアイカツおじさん。出ていく彼はかつての全国一位。
このアイカツおじさんは伝説のアイカツおじさん先輩。
出る杭も己で打って消えてゆく。
一体どこへ向かうのだろう。深い闇に深い闇に。彼にはそれも見えていない。
見ていない。見ようともしない。見たくない。
見せよう。皆さんに。アイカツおじさんの末路を。
全てを忘却して抜け殻となったアイカツおじさんの伝説を。
「アイカツはクソゲーだ」  決して許されない言葉を。極めた男が決して口にしてはいけない言葉を。
誰でも怒りを覚えるだろう言葉を。小さな声で誰にも聞こえないように呟いて。
公園のベンチに丸まりながらアイカツおじさんは静かに涙を流した。

12以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:52:15.537ID:5gg3SmCSd
がんばれアイカツおじさん
がんばれ

13以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:52:46.517ID:/og6ILPX0
大型スーパーのスピーカーから流れる音楽。聞き覚えがある。
風景にも記憶がある。前にここに来たのはいつのことだろうか。
それよりここはどこだろうか。 「一周したか」  達成感もない。
もう一度同じ事を繰り返していくだけ。
ただアイカツ!をプレイして次の店へ。それだけの作業だ。
ぼんやりと筐体に100円を入れる。
カードの絵も見ずにリュックへしまう。全てのカードを持っているからだ。
いらない。いらない。でも捨てない。捨てられない。
スコアだ。今の自分にはスコアが必要なのだ。
ボタンを叩きながら、アイカツおじさんは気が遠くなっていく。
ああ、ここで終わるのか。終わろうか。眠ろう。ずっと待っていた深い闇へ。
遠くから声が聞こえる。
聞こえる。
(おい、終わったら台から離れな)
聞こえた。
「おい、終わったら台から離れな!」
聞こえる!
アイカツおじさんは顔を上げた。
「久しぶりだな!」
世界が弾けた。色が広がった。音が透き通る。
光が。眩しいほどの。何故忘れていたのだろう。この光を。
死人のような顔でアイカツおじさんは声の主を見る。
そこにいたのは。
「見てくれよ、これ揃ったんだ!」
バインダーを開いて見せてくる幼女。違う、それは。
「あんたとトレードした衣装が揃ったよ!」
それは幼女先輩。
「あ、あ、お久しぶりです」
アイカツおじさんは精一杯の笑顔を浮かべた。それはとても汚くて醜い。
笑い方がわからない。歪んで苦しみから逃げ出すように、口の形で誤魔化すのだ。
それを見透かすように幼女先輩は最大の笑顔で言う。
「あんた、まだ燻ってるじゃないか。燃え尽きちゃいない」
意味がわからなかった。アイカツおじさんはすがるように幼女先輩に手を伸ばした。
「僕はアイカツがわからない。全てを理解したはずなのに。アイカツって何? 僕は何で、僕はどうして、僕は」

14以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:54:46.609ID:/og6ILPX0
あはっ、と幼女先輩は流した。アイカツおじさんの背中を叩く。
「ふたりでしよう!」
アイカツおじさんは流されるまま幼女先輩に続いて100円を投入するのだった。
いつもの画面が目の前に広がる。
「あたしの得意曲だからな!」
伝説となったアイカツおじさんに不得意曲などない。
幼女先輩と言えども手抜きはしない。
楽曲が始まる。
アイカツおじさんの出だしは完璧だ。ノーミス。
ノルマは余裕だろうか、邪魔してくれるなよ。
しかし、隣を見るとどうだ。見るに悲惨な状況だ。
それでも、それでも幼女先輩は笑顔で叩くのだ。
「うん、たんたん、たたたん」
叩くのだ。まるで勝ち負けを意識しないように。純粋に画面に夢中になってひたすらと叩くのだ。
アイカツおじさんは吐き気を抑えた。リズムが狂う。ボタンを叩く手が痺れていく。
何でだ! 何でだ! 僕は全国一位も取った!
負けるのか?
この自分より未熟な幼女先輩に、負けるのか! 僕が一番なんだ!
「おい、チームアピール!」
幼女先輩の声にアイカツおじさんの目に光が宿る。
ふたり同時のタイミングでボタンを押さなくてはならない。
「やったあ!」
成功した。画面にキレイなエフェクトが流れる。
僕は、僕はどこにいるのだろう。
アイカツおじさんは未だに無の平地に戸惑っていた。
ゲームは終わる。合格だ。それでもアイカツおじさんは状況を理解できない。

15以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 19:59:05.007ID:/og6ILPX0
この気持ちは何だろう。これは何だろう。誰か教えてください。誰か。
「な、楽しかったな!」
幼女先輩が親指を立てた。その時にアイカツおじさんは理解した。
「楽しい?」
「おう!」と幼女先輩が答えた。
楽しい。アイカツおじさんに光が差した。
氷を溶かすように。身を焦がすように。
ああ、楽しかった。楽しい。すごい。
今までに貯め込んだ黒い塊が、苦労した魂が。
一気に崩壊する。ひび割れた一点から噴き出すように。
「うあああああああああああああああああああああああ」
アイカツおじさんは大声で泣いた。両手の平で顔を覆って。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
獣のように泣いた。それは最も野蛮で、最も単純な歌。涙の歌。
幼女先輩が周りの目を気にしながら狼狽える。少しして、諦めて。
彼女はアイカツおじさんの頭を撫でた。
「よし、よし」
アイカツおじさんが泣きやむまで。ずっとずっと。
「よし、よし」
ずっとずっと。

16以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 20:04:53.692ID:sIg+6xlQ0
意味わかんねえけど面白い

17以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 20:07:51.182ID:1MhsmFuY0
感動した

18以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 20:12:45.712ID:/og6ILPX0
幼女先輩のママが来た。アイカツおじさんは苦手な笑顔で会釈したが、ママはすぐに目を逸らした。
手を繋がれ、幼女先輩は去ってしまう。
途中、振り向いてウィンクをしてくれた。
アイカツおじさんはずっとずっと見送った。
「ちょっと、いいかな  肩を叩かれアイカツおじさんは振り向いた。
そこにはスーパーの警備員。
「あのね、その。苦情が来てるんだよ。いや、君は何も悪くないんだよ。でもね、わかるよね?」
「あ、あ」
「君はいつかの」
警備員はアイカツおじさんの顔を覚えていた。
「いい目になったね」
ほっこりと笑顔を見せる警備員。
「でもね、わかるよね?」
「はい」
アイカツおじさんと幼女の再会は新たな繰り返しか。
果たしてそうだろうか。進展を、新たな進展を。祈れ。祈ったか。必要か。不要か。
アイカツおじさんは死なない。

19以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 20:14:48.157ID:/og6ILPX0
大型スーパーのフードコート。テーブルを囲んで大きな声で騒ぎ立てる若者達。
「マジ、ノーマルカードいらねー! 何だよこの数字!」
「クソだろ、捨てちまえよ!どっかの幼女が喜んで拾うかもな!」
不愉快な笑い声が聞こえる。最近、聞き慣れた感じの話題だ。
彼はその集団に怖じ気づくこともなく近寄った。
「あげるよ。全部。君たちで分け合うといい」
テーブルにリュックを逆さにして、カードで山を築く。
唖然とする若者達。そのひとりが気付く。
「あなたは伝説のアイカツおじさん先輩!」
その声に全員が起立して敬礼する。
「僕はひとりのアイカツおじさんだよ。伝説でも先輩でもない。君たちと同じアイカツおじさんなんだ。ねえ、アイカツは楽しいかい?」
その問いに答えるもなく、若者達の目線はカードに向かっている。
「伝説のアイカツおじさん先輩! 全てのカードを捨ててどうするんですか!」
「全て? 違うさ」
アイカツおじさんは胸のポケットから一枚のカードを出した。
それは。
ボロボロのカード。折り目の付いた擦り切れたカード。
「この一枚から、また始めるよ」
理解できる若者はいなかった。

20以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/08/19(日) 20:24:34.739ID:LpF6usw30
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