坂口安吾の「桜の森の満開の下」って小説がヤバい

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1以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/07/29(日) 07:22:42.333ID:Hr0EnjPIK
 彼等の家にはすでに何十の邸宅の首が集められていました。部屋の四方の衝立ついたてに仕切られて首は並べられ、ある首はつるされ、男には首の数が多すぎてどれがどれやら分らなくとも、
女は一々覚えており、すでに毛がぬけ、肉がくさり、白骨になっても、どこのたれということを覚えていました。男やビッコの女が首の場所を変えると怒り、ここはどこの家族、ここは誰の家族とやかましく言いました。
 女は毎日首遊びをしました。首は家来をつれて散歩にでます。首の家族へ別の首の家族が遊びに来ます。首が恋をします。女の首が男の首をふり、又、男の首が女の首をすてて女の首を泣かせることもありました。
 姫君の首は大納言の首にだまされました。大納言の首は月のない夜、姫君の首の恋する人の首のふりをして忍んで行って契ちぎりを結びます。契りの後に姫君の首が気がつきます。
姫君の首は大納言の首を憎むことができず我が身のさだめの悲しさに泣いて、尼になるのでした。すると大納言の首は尼寺へ行って、尼になった姫君の首を犯します。
姫君の首は死のうとしますが大納言のささやきに負けて尼寺を逃げて山科やましなの里へかくれて大納言の首のかこい者となって髪の毛を生やします。
姫君の首も大納言の首ももはや毛がぬけ肉がくさりウジ虫がわき骨がのぞけていました。
二人の首は酒もりをして恋にたわぶれ、歯の骨と歯の骨と噛み合ってカチカチ鳴り、くさった肉がペチャペチャくっつき合い鼻もつぶれ目の玉もくりぬけていました。
 ペチャペチャとくッつき二人の顔の形がくずれるたびに女は大喜びで、けたたましく笑いさざめきました。
「ほれ、ホッペタを食べてやりなさい。ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう。ハイ、目の玉もかじりましょう。すすってやりましょうね。
ハイ、ペロペロ。アラ、おいしいね。もう、たまらないのよ、ねえ、ほら、ウンとかじりついてやれ」
 女はカラカラ笑います。綺麗きれいな澄んだ笑い声です。薄い陶器が鳴るような爽やかな声でした。
 坊主の首もありました。坊主の首は女に憎がられていました。いつも悪い役をふられ、憎まれて、嬲なぶり殺しにされたり、役人に処刑されたりしました。坊主の首は首になって後に却かえって毛が生え、やがてその毛もぬけてくさりはて、白骨になりました。
白骨になると、女は別の坊主の首を持ってくるように命じました。新しい坊主の首はまだうら若い水々しい稚子ちごの美しさが残っていました。
女はよろこんで机にのせ酒をふくませ頬ずりして舐なめたりくすぐったりしましたが、じきあきました。
「もっと太った憎たらしい首よ」
 女は命じました。男は面倒になって五ツほどブラさげて来ました。ヨボヨボの老僧の首も、眉の太い頬っぺたの厚い、蛙かえるがしがみついているような鼻の形の顔もありました。
耳のとがった馬のような坊主の首も、ひどく神妙な首の坊主もあります。けれども女の気に入ったのは一つでした。それは五十ぐらいの大坊主の首で、ブ男で目尻がたれ、頬がたるみ、唇が厚くて、その重さで口があいているようなだらしのない首でした。
女はたれた目尻の両端を両手の指の先で押えて、クリクリと吊りあげて廻したり、獅子鼻ししばなの孔へ二本の棒をさしこんだり、逆さに立ててころがしたり、だきしめて自分のお乳を厚い唇の間へ押しこんでシャブらせたりして大笑いしました。
けれどもじきにあきました。

2以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/07/29(日) 07:24:53.404ID:Hr0EnjPIK

3以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/07/29(日) 07:27:14.310ID:5cUNCKwbd
でも桜の樹の下にはも好きだし

4以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/07/29(日) 07:27:41.444ID:hy8hkef30
 蟷螂がとても好きだった。数百のレンズから成る目。獲物を逃がさぬ鎌。完成されたフォルム。 
 夏、草むらへ入っていく。長い虫取り網とふたつの虫かごを持って、探検するように雑草を掻き分ける。狙いが定まらぬまま、ただ力いっぱい振って、網の中に入る蟲を眺める。一匹一匹鑑定する。 
 殿様バッタを捕まえた、蟷螂じゃない。ギンヤンマを捕まえた、蟷螂じゃない。 
 要らない蟲をつかんで投げた。投げた勢いで羽がもげ、後ろ足が落ちた。飛べないギンヤンマと跳べない殿様バッタがどうなったのか、俺は知らない。 
 ただ俺は蟷螂が捕まえたかっただけなのだ。 
 日が高く上り、髪の毛が汗で濡れたころ、ようやく大蟷螂を捕まえた。茶色の外皮。二つの鎌。十六センチを超える大迫力。 
 こいつはカッコいい、飼おう。虫かごに入れて、餌と葉っぱを入れて育てよう。 
 俺は満足し、家に帰ると勉強机の上で蟷螂を離した。蟷螂は暴れず、じっとしている。ときより触覚を上下上下と動かし、なにかを探っている。蟷螂は徘徊して獲物を探さない。じっと待つ。 
 蟷螂の捕食シーンが見たくて、餌のコウロギを与えてみた。しかしすぐに食いつくことはなかった。食物連鎖の下位にいるコウロギがぴょんと跳ねる。 
 机からいなくなり、いつの間にか部屋からもいなくなる。 
 いまになって、虫かごの中に蟷螂とコウロギを入れておけばよかった。密閉された空間ならば、逃げる心配も、忘れたころに干からびたコウロギの死骸を机の下から見ることもなかったのに。 
 ただその時は、直接餌をむさぼる蟷螂が見たかった。虫かごの透明なプラスチックさえ鬱陶しかった。出来ることなら自分の目玉をくり抜いて、同じ虫かごで飼いたいぐらいだ。 
 消えたコウロギの代わりに、新しいコウロギを取り出した。今度は跳べないように一番後ろの足を二本とも千切った。 
 短い四本の足でノロノロと歩くコウロギ。離乳食を作る母親になった気分だ。食べやすいでしょ、と蟷螂に話しかけた。 
 蟷螂が餌に狙いを決めた。鎌を深く畳み、触覚がコウロギに向けられる。 
 二つの大鎌の射程圏内に入った。 
 鋭利な棘たちが一瞬だけブレた瞬間で、蟷螂はコウロギを捕らえる。 
 ジタバタと抵抗する食料に、蟷螂は喰いつかない。 
 夕食の招集をする母親に生返事で答えながら、俺はじっと待った。一、二分経ったところで、疲れたコウロギはまだ生きているのに動かなくなる。蟷螂はそのタイミングで喰らいついた。 
 俺の一番好きな時間が始まる。 
 彼ら捕食者は、必ず対象の首から食べる。それも後ろから。どんな形で捕まえようと、鎌をうまく動かして、首裏から食べる。 
 どこから食べれば絶命に至るか、無駄な体力を消費せず完食出来るか、彼らは知っている。歴史のDNAが教えてくれているのだ。 
 生まれたての蟷螂も同じように食べる。共食いをする時でさえ、首から食べる。 
 俺はこの瞬間が一番好きだ。自分の知らないことを蟷螂が知っているような気がして、好きだ。スリッパで叩き潰せば死ぬような生き物が、俺に今歴史と命を教えてくれている。 
 蟷螂がコウロギを食らい尽くし、鎌に付いているブラシでキレイキレイしているのを見て、自然と笑みがこぼれた。 
 同じタイミングで、母親の声が家に響く。今日の夜はカレーだと。 
 でも俺の意識は蟷螂から離れない。ぱんぱんに膨らんだ腹を見て、ここにコウロギは入っているんだと理解した。 
 俺は勢いよく右手で腹を潰した。土臭い匂いを立てながら肛門から内臓とコウロギの肉片が飛び出る。 
 原型のないコウロギの肉たちは綺麗な色をしていた。白に近い灰。射出された内臓と肉団子をうっとり眺めた後、飽きてゴミ箱へ捨てた。 
 明日の天気が気になった。網と虫かごは、やはり晴れに限る。次はもっと大きいのを捕まえよう。 
 リビングへ向かい、手を洗う。料理が冷めるでしょ、と母親が小言を言った。 
 ごめんなさいと謝って、俺は口いっぱいにカレーを詰め込んだ。

5以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2018/07/29(日) 07:30:18.435ID:AsL31Xa20
白痴しか読んだことないけどやっぱりこいつやばいな

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